アンタークチサイトのネックレスを作った
2回に分けてお送りした「アンタークチサイトを作った」ですが、もうちょっと続きます。
というのも、もっと大きな結晶が欲しい!
そしてアクセサリーが作りたい!
ということで、作りました。
アンタークちんのネックレスです。
結晶の大きさは幅8 mm, 長さ15 mm程度。
アンタークちんは指で触るとすぐに溶けてしまうので、9ピンを曲げるのが大変でした……。
体温が10℃以下の人間でなければ身に着けられません。
なんという非実用性。
ということで、この大きなアンタークちんを作るために行った、
結晶育成実験を説明していきます。
- 種付けを行う
- でかアンタークちん
- ネックレスを作ろう!
- まとめ
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アンタークチサイトを作った(その2)
はじめに
前回の記事では、アンタークチサイトの作り方を紹介し、実際に実験してみました。
その結果、冷やして固めるだけでアンタークちんを作れることがわかりました。
しかし、人とは欲深いもので、もっときれいな結晶が欲しい!
ということで、追加で実験をやってみたところ、できました。
まずはその写真をお見せします。
あーいい。最高。
超萌える。
写真を取るのが下手くそできれいに見えていないのが非常に悔しいのですが、実物はこれよりももっとずっと素晴らしくきれいです。
一つ一つの外形が肉眼ではっきりわかるまで大きく成長した結晶!
-20℃保持では見えなかった針状結晶断面の六角形まではっきり見えています。
では、このマーベラスなアンタークちんをどうやって作ったのかを説明していきたいと思います。
- はじめに
- 過冷却はなぜ起きる?
- 目覚めよアンタークちん
- 濃度による結晶の量の違い
- まとめ
フォスフォフィライトを作ってみる(結晶成長編・その2)
記事の作成が遅くなってしまい申し訳ありません。
アニメ宝石の国を見た衝撃のままに後先考えずに書いてしまった記事でしたが、見てくださる方もいるようでうれしい限りです。
かなりおかしなテンションで書いたので後々恥ずかしくなりましたが・・・。
(最新刊も見て)だいぶ頭がクールになってきたので、まじめに書きます。
フォスフォフィライトの人工合成をやりたい! という方の参考になれば幸いです。
はじめに
これまでの考察の結果、フォスフォフィライトの人工合成に適した手法は熱水合成法であることがわかりました。しかし、熱水合成による結晶成長は手間と時間とお金がかかるため、現実的な手法ではありません。
俺は個人でフォスフォフィライトちゃんをつくりたいんだ!
そこで、今回はよりカンタンにフォスフォフィライトを合成できる(かもしれない)手法として、Single Diffusion Gel Growth法を紹介します。
Single Diffusion Gel Growth法とは?
日本語に無理やり訳すなら「一方向拡散ゲル内成長法」でしょうか。
1つめの記事(合成編)で、リン酸アンモニウムと硝酸亜鉛・鉄水溶液の中和反応によってフォスフォフィライトが合成されるという話を紹介しました(下図参考)。
この手法では、リン酸イオン(H2PO4-)と亜鉛・鉄イオン(Fe, Zn2+)がくっついてフォスフォフィライトが合成する反応があまりにも早いため、結晶化がいたるところで一気に進行してしまい微結晶となってしまいます。
つまり、この反応を遅くすることができれば、より大きな結晶が作れるかもしれないわけです。
そこで、フォスフォフィライトの結晶化をゲル内部で進行させ、結晶化が反応物(リン酸,金属イオン)の拡散によって強く律速されるような条件にすることで、きれいな単結晶を作ろう!
という手法がこのSingle Diffusion Gel Growthです(下図参考)。
1つの溶媒をゲル(ゼリーのようなぷるぷるしたやつ)にすることで、2つの溶液がすぐに混ざらないようにします。
その結果、水溶液中に存在するZn, Fe2+はリン酸ゲル内を徐々に拡散していくことになり、フォスフォフィライトの生成反応は遅くなります。
結晶化がゆっくりと進むことになり、きれいで大きなフォスフォフィライト単結晶をゲル内部につくることができるのではないか、というわけです。
先行研究の紹介
この手法に目を付けたのは、以下の論文を見つけたからです。
[1] Optical and dielectric studies of gel grown α-hopeite single crystal - ScienceDirect
この論文ではα-HopeiteをSingle Diffusion Gel Growthで作成しています。ホパイトとは以前の記事で説明した通り、フォスフォフィライトから鉄イオンを抜いた、リン酸亜鉛4水和物(Zn3(PO4)2・4H2O)のことです。
ほぼフォスフォフィライトじゃんこれ!
ちなみにこの論文では、上記方法で1週間成長させることにより、8×2×2mmのホパイト単結晶を得ています。水ガラス(メタケイ酸ナトリウム水溶液)+リン酸で作成したゲルを用いているようです。
また、他の論文を調べてみると、リン酸水素カルシウム2水和物(CaHPO4・2H2O)やリン酸水素鉛(PbHPO4)も同様の手法で作成されています。(文献は以下)
CaHPO4は21日の成長で1 cm超の針状結晶が、PbHPO4は2か月で8×6×2 mmの結晶が得られています。条件によって成長速度は大きく違うみたいですが、1 cm超の単結晶を作ることは十分可能なように思えます。
では、以上の先行研究を参考に考えた、フォスフォフィライトちゃん単結晶の合成実験方法を記します。
フォスフォフィライト単結晶合成計画
必要な物品
<薬品・試薬類>
- 硝酸亜鉛(Zn(NO3)2)
- 硝酸第一鉄(Fe(NO3)2)
- リン酸水溶液(濃度1 mol/L H3PO4)
- メタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)
- 純水
<実験器具・その他>
- ビーカー(500mLぐらい)
- 試験管(容量は適当)
- 試験管立て
- pHメーター
- はかり
- ピペット
- 薬さじ
- 薬包紙
実験方法
- 水ガラスをつくる。(密度1.06 g/cm3の水ガラスを作る場合、142.5 gのメタケイ酸ナトリウムを250 mlの純水に溶かす)
- 水ガラスに1.0 mol/Lリン酸を加える。pHは~6.5程度になるように。
- 手順2で作成した溶液を試験管に適量注ぎ、封をして定温(20℃ぐらい)で2日ほど静置し、均一なリン酸ゲルを作製する。
- 金属塩の溶液を作る。金属塩の総量が1.0 mol/Lとなるように、硝酸亜鉛と硝酸鉄を秤量し純水に溶かす。亜鉛と鉄の比率は適宜調整する。(フォスフォフィライトの組成から考えればZn:Fe=2:1だけど、これが最適かは要検討)
- 手順4で作成した金属塩の水溶液を、手順3で作成したリン酸ゲルの上にピペットで静かに注ぐ。栓をして、定温条件で試験管立てに静置する。
- 合成期間が長期にわたる場合は、10日ごとに金属塩溶液を交換する。
合成条件の検討
- 水ガラスの密度
- ゲルのpH
- 金属塩の濃度、および亜鉛/鉄の比率
- 成長温度
- 合成期間
主に上の条件で単結晶が生成するか、どんな形状になるかが決まると思われるので、色々条件を振って実験を行う。
天然のフォスフォフィライトにはMnなどの不純物が含まれると言われているので、合成条件がある程度確定したら試してみるといいかもしれない。
まとめ
かなりふわふわした実験計画ですが、上のような条件で1か月程度の合成を行えば、だいたい1 cm程度のフォスフォフィライトが合成できると思われます。時間はかかりますが、10日ごとに溶液を交換するだけの放置プレーでOKなので、かなり楽に大量生産ができるのではないでしょうか。
早速実験……したいんですが。
硝酸塩は酸化性が強いものが多く、個人で購入することはできないみたいです。
塩化物や硫酸塩とかなら手に入りそうなんだけどなぁ。
高校の先生とか、もし見ていたら化学部の実験にいかがでしょう?(成功は保証できませんが)
以上、フォスフォフィライトを作ってみる全4部はこれでおしまいです!
材料がどうにかして手に入れば「作ってみた」シリーズを投稿するかもしれません。
あと、気が向いたらユークレースちゃんとかベニトアイトちゃんとかアンタークちんとかについても考えてみるかも。
アンタークちんは相変化材料としてかなり面白い研究がされているみたいですね。
それでは。
フォスフォフィライトを作ってみる(結晶成長編・その1)
はじめに
宝石の国第3話、見ました?
ダイヤモンドちゃん大活躍でしたね。次の話が楽しみです!
さて。
前回の記事では、フォスフォフィライトを合成する方法を説明しました。
フォスフォフィライトを作ってみる(合成編) - フォスフォフィライトちゃん大好きクラブ
今回は、上記の方法で得られるフォスフォフィライト(粉末)を単結晶にする方法を調べていこうと思います。
ある程度の大きさの単結晶を成長させるための手法として、代表的なものを以下に記します。
では、フォスフォフィライトちゃんの育成法としてどの方法が妥当か検討していきましょう。
判断基準は以下の感じで。
- 透明な単結晶が得られる
- サイズは1 cm程度は欲しい
- 実現可能な方法(あまりにも高価な機器や危険な薬品は用いない)
さっそくいってみよう! まずは気相成長!
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フォスフォフィライトを調べる(実用編)
はじめに
前回の調査で、フォスフォフィライトちゃんの意外な用途を発見しました。
Phosphophyllite, an important material in the coating of steels for rust prevention, has been synthesized in bulk from aqueous solution.
どうやら、これは金属の表面処理技術の1つであるリン酸塩処理(パーカライジング)に関連しているようです。
かんたんに解説します。
パーカライジングって?
必殺技みたいな響きですよねパーカライジングって。
日本にはこれにちなんで名づけられた日本パーカライジング株式会社という企業があります。せっかくなので、パーカライジングについて、この会社の説明を引用することにします。
パーカー処理パーカライジング法という「化学的ファンデーション」
別名パーカライジング処理(法)とも言いますが、リン酸塩皮膜を生成させる方法を総称(俗称)して言います。
リン酸塩皮膜処理とは、リン酸鉄、リン酸亜鉛(下地・防錆用途)、リン酸マンガン(防錆・摺動用途)などのリン酸塩の溶液を用いて、金属の表面に化学的にリン酸塩皮膜を生成させる化成処理のことで、その昔工業用途で本格的に発展させたアメリカ、パーカー兄弟の姓をとってパーカライジング、パーカー処理と呼ばれる様になりました。
現在では化学・学術用語にもなっています。
ふむふむ。
ちなみにこのリン酸亜鉛の部分の説明を見てみると、
リン酸塩処理の1つで最も多く使われているのがリン酸亜鉛処理です。処理液の主成分はリン酸イオンと亜鉛イオンから構成されており、結晶性の皮膜が形成されます。皮膜の主成分はホパイトとフォスフォフィライトからできています。この処理は塗装下地として広く使用されており、耐食性、密着性を大きく向上させます。また、冷間鍛造の潤滑皮膜としても使用されています。適用素材は鉄鋼、亜鉛メッキ製品が多いのですが、その他の素材への適用例もあります。処理温度は60℃以下のものが多く、常温タイプのものもあるので、使いやすいのも特長のーつです。
いた!!!! フォスフォフィライトちゃん!!!!
ちなみに、化学物質としてのフォスフォフィライトの説明も同サイトにはあります。まさかこんなところで役に立っているとは・・・。
この説明の通り、パーカライジングとは金属表面へ結晶性のリン酸塩を析出させることであり、酸・アルカリへの耐食性の向上、および塗装下地としての役割があるようです。
意外なところで役に立っているんですね。(かわいい)
フォスフォフィライトちゃんの兄弟,ホパイトちゃん
ところで、上記の解説にさらっと出てきた「ホパイト」とはなんでしょう?
日本パーカライジング株式会社の解説によれば、
ホパイトフォスフォフィライト
金属をリン酸塩処理浴にて処理するとリン酸塩皮膜が金属表面に生成されます(パーカー処理参照)。リン酸塩処理には使用目的に応じていくつかの種類がありますが、最も広く使用されているリン酸亜鉛処理を行った時に得られるリン酸塩皮膜は結晶性で、その主成分がホパイト(Hopeite)とフォスフォフィライト(Phosphophyllite)です。ホパイトはZn3(PO4)2・4H2OフォスフォフィライトはZn2Fe(PO4)2・4H2Oの化学式であらわされますが、両者とも元々は鉱物名であり、同じ結晶構造を持つものが天然に産出されます。(以下略)
どうやら、フォスフォフィライト(Phosphophyllite)ちゃんが鉄と亜鉛を含むリン酸塩であるのに対して、ホパイト(Hopeite)は鉄を含まないシンプルなリン酸塩であるようです。
そして、この説明によればホパイトちゃんも天然に産出するようで・・・。
調べてみたところ、ありました!!!
フォスフォフィライトちゃんとは対照的な淡いオレンジ色ですね。
初めて発見されたのはザンビアですが、フォスフォフィライトちゃんと同じくボリビアでも産出するそうです。
物理的な性質はほぼ同一なようですが、こちらの鉱石は宝石としてカットされている様子はありませんね。宝石質の透明な結晶が産出しないんでしょうか?
パーカライジングの反応式
パーカライジングについて、詳しい文献が日本語で出ています。
せっかくですのでこっちも見ていきましょうか。
この文献によれば、リン酸塩処理はpH 2~4の処理液を用いて行われるそうです。この範囲であれば、リン酸の大部分は1段階解離した状態になっています。
この処理液と鉄が接触すると、次のようにフォスフォフィライトちゃん+ホパイトちゃんの反応被膜が表面に析出します。
- 鉄の溶解<アノード反応> (Fe→Fe2+ + 2e-)
- 水素イオンあるいは酸化剤の還元<カソード反応> (例: 2H+ + 2e-→H2)
- 鉄表面での局所的なpH増加によるリン酸塩の析出反応
この(3)の反応が以下の通り。
- 2H2PO4- + 2Zn2+ + Fe2+ + 4H2O→Zn2Fe(PO4)2・4H2O + 4H+(フォスフォフィライトちゃん)
- 2H2PO4- + 3Zn2+ + 4H2O→Zn3(PO4)2・4H2O + 4H+(ホパイトちゃん)
これがフォスフォフィライトちゃんの生成反応ですよ!
みなさんぜひ覚えておくように!
このように生成したリン酸亜鉛皮膜の外観色は灰白色から灰色であり、2種の結晶格子が原子レベルで混合した固溶体(混晶)となっているようです。
さまざまな条件で析出したリン酸亜鉛皮膜(フォスフォフィライト+ホパイト)の走査電子顕微鏡像による外観がこちら。
ちなみに、この文献によれば、
近年におけるリン酸塩処理技術の発展は、自動車車体向けの塗装下地用リン酸亜鉛処理に集約され、その他のリン酸塩処理については残念ながら特筆すべき内容は無い。(p221)
とのこと。
塗装下地とは・・・ずいぶん地味な仕事縁の下の力持ちですね!
私たちが載っている車にも、フォスフォフィライトちゃんが使われていたりするのでしょうか。
というわけで、wikipediaにも載っていないフォスフォフィライトちゃんのお仕事の話でした。
次こそは結晶成長の話か、あるいはホパイトちゃんの話をしようと思います。
それでは。
フォスフォフィライトを作ってみる(合成編)
はじめに
アニメ宝石の国を見ました
フォスフォフィライトちゃんかわいいよおおおおおおお
でも高い・・・
1ctで100万超って・・・
でも欲しい・・・
というわけでフォスフォフィライトちゃんを作る方法を調べました
フォスフォフィライトちゃんって?
困ったときはwikipediaさんに聞いてみよう!
名前:フォスフォフィライト(燐葉石)
化学式:Zn2Fe(PO4)2・4H2O
へき開:完全
モース硬度:3 ~ 3.5
性質・特徴:非常に脆く衝撃に弱い
産地:ボリビア (セロ・リコ銀山,ポトシ)、その他オーストラリア、アメリカ、ドイツ、ザンビア
以上です。
ちょっと情報少なすぎるんちゃう?
ちなみに英語版も同じような感じでした。よっぽど使い道がないんだなこいつ(かわいい)。
「宝石の国」中での扱いもまさに原作通り。
とはいえこの程度で終わるわけにはいきません。何せ目標はこいつの人工合成。
というわけでとりあえず論文調べましょ。
フォスフォフィライトちゃん大調査
Web of Science(論文の検索サイト)でPhosphophylliteと検索してみた結果がこちら。
(少なくて)いいじゃん。
調査の手間が省けそう・・・あれ?
合成、構造、熱特性・・・まさか。
とりあえず概要を見てみましょう。
でもまさかそんなすぐに合成方法が見つかるわけなんk
あああああああああああああ見つかったあああああ!!!!
ということで調査はこれで終了ですね。
お疲れ様でした。
フォスフォフィライトちゃん大活躍
先の論文概要を改めて見てみましょう。
Phosphophyllite, an important material in the coating of steels for rust prevention, has been synthesized in bulk from aqueous solution.
斜体部分にご注目。
なんかごく当然のように「(フォスフォフィライトは)鋼鉄のさび止めコーティング剤として非常に重要な材料である」とか書かれてますが知らないよ!
どうやらフォスフォフィライトちゃんは与り知らぬところで世界のお役に立っている様子。
フォスフォフィライトちゃんは役に立たないニートではなかった!(でもかわいい)
とあればフォスフォフィライトちゃんファンクラブの末席を汚すものとしてこれを調査しないでいられるだろうか(反語)
まあ記事としては脱線するので、改めて書くことにします。
とにかく合成方法だ! 合成方法を早く教えてくれ!
フォスフォフィライトちゃん大合成
(参考文献 Synthesis, Structure and Thermal Properties of Phosphophyllite, Zn2Fe(PO4)2・4H2O, I. M. Thomas, M. T. Weller, J. Mater. Chem., 1992, 2(11), 1123-1126.)
<材料>
・リン酸二アンモニウム溶液(0.5 mol/L, 30cm3)
・硫酸亜鉛および硫酸鉄の混合水溶液(総金属イオン濃度 0.5 mol/L, 70cm3)
<作り方>
・混ぜるだけ。
以上です。
やばい。ちょー簡単すぎてやばい。
正確な工程は以下。
- 2種の溶液を4時間混合する。
- ガラスろ過機で析出物を採取する。
- 析出物を1 dm3の水で洗浄し、余分な硫酸を取り除く。
- 空気中、60℃の環境で乾燥させる。
ほんとに論文のまんまですよこれ。簡単すぎでしょ。
弱酸(硫酸鉄・硫酸亜鉛)と弱塩基(リン酸二アンモニウム)の中和反応で生じる塩がフォスフォフィライトちゃんになるといった解釈でいいでしょう。
最後に水で洗浄しているということは、常温の水に対する溶解度はほぼゼロといったところでしょうか。
この反応で得られるフォスフォフィライトちゃんは粉末と言っていいほど小さな微結晶なので、宝石として生まれ変わらせるためにはもうひと手間かける必要がありそうですね。
手間のかかるやつだぜ。(かわいい)
フォスフォフィライトちゃん大成長
上記の方法によって、我々はフォスフォフィライトちゃん(粉末)を手に入れることができるようになりました。
これを前駆体として、下のようなフォスフォフィライトちゃん(単結晶)を作らないといけない。
このような、原料から単結晶を作る方法は結晶成長(Crystal Growth)と呼ばれます。
結晶成長の基礎については
具体的な成長プロセスの設計については
などがおすすめ。
英語が読めるならHandbook of Crystal GrowthやCrystal Growth for Beginnersとかもいいぞ。
基本的には、昇華するなら気相成長、液体になるなら融液成長、ならないで水に溶けるなら溶液成長(水溶液)、水に溶けないなら溶液成長(フラックス)あるいは高温高圧下の水を溶媒にする熱水合成での単結晶合成を目指すといった感じでしょうか。
フォスフォフィライトちゃんは常温常圧の水には溶けないようなので、工夫が必要になりそうですね。
フォスフォフィライトちゃんは2話で巨大カタツムリに食べられ(?)てどろどろに溶かされてしまいましたが、まさにその溶解液を探す必要があるわけです。
というわけで次回! フォスフォフィライトを作ってみる(結晶成長編)
乞うご期待!